STAFF INTERVEW

培ってきたノウハウを
広く提供し、エネルギー
の新たな可能性を広げる

T.Kさん

2018年入社 事業企画本部 みらい研究所 所長 ※部署名は2024年3月現在

大きな変革期を迎えたエネルギー問題

2016年の電力全面自由化により、日本の電力の在り方は大きく変わりました。また、世界的なエネルギーの枯渇問題や、2011年の福島第一原子力発電所事故で顕著になった大規模集中型電源のリスクなどを踏まえ、それまで大規模発電所(集中電源)が独占していた電力事業が開放されたのです。通信、鉄道、家電量販店など、さまざまな事業者が電力事業に参入したことで競争が生まれ、電気料金の抑制やサービスの向上といった変化が見られました。加えて近年は、脱炭素社会の実現に向けて世界中が動いています。日本でも経済産業省が「2050年の発電電力量に占める再生可能エネルギー比率を50~60%とすることを目指す」と表明するなど、エネルギーは大きな変革期を迎えています。

集中型エネルギーから
分散型エネルギーへ

エネルギー不足への対応と脱炭素社会の実現のために重要なのは、大規模発電所による集中型エネルギーと相対するエネルギー、つまり、全国に点在している分散型エネルギー源(DER:Distributed Energy Resources)をいかに有効活用するかです。DERの主なものとしては、各家庭や施設が所有する蓄電池やエネファームをはじめ、太陽光や風力などのクリーンエネルギー、電気自動車によって生じる電気エネルギーがあげられます。これら DERのうち、再生可能エネルギーは環境負荷が低いというメリットがありますが、発電量が天候に左右されるため発電量が安定しないというデメリットも併せ持っています。そのため、従来は「自ら作り出して、自ら使用する」という小規模利用が前提となっており、送電線など既存の電力システムと接続できていないため、例え自分たちが使用する以上の電力をつくっても、うまく運用することができないといったさまざまな問題を抱えていました。

日本における
エネルギー改革の先駆者

エナリスでは、こうした問題にいち早く着目し、みらい研究所においてDER有効活用のためのさまざまな技術開発や実証を行ってきました。その一つの成果が、最先端のIoT、AI予測技術、制御技術など当社のノウハウを組み合わせることで実現したバーチャル・パワー・プラント(VPP:仮想発電所)です。VPPは各所で作られたDERを集約・都合制御することで、あたかも1つの発電所のように機能することができます。エナリスは業界に先駆けてVPP技術の開発に着手し、経済産業省が始めたVPP実証事業にも先陣を切って参画。日本におけるVPP事業のトップランナーとして、新電力の創成期から実証を続けてきました。現在は、その成果をもとにしたVPPプラットフォームサービスを提供する事業を展開しています。

協業の輪を広げ、より大きな力に

2022年4月には、経済産業省が定める「一定の条件を満たすアグリゲーター」として日本第一号となりました。アグリゲーターとは、DER等の電気を集めて供給を行う「特定卸供給事業者」のことです。一般送配電事業者のシステムとも直接接続するのでサイバーセキュリティにおいても厳格な対策が求められますし、制御する対象のリソースや連携する事業者に対しても、責任を持つ必要があります。かつては、一般送配電事業者がDERの保有者に対して個別に電源の供出依頼などをしてきましたが、アグリゲーターが間に介在することでより多くのDERを活用することが期待されています。
新たな取り組みとして、ブロックチェーンを使ってDER余剰電力と利用希望者をマッチングさせる「再生可能エネルギーの地産地消実証」をスタートさせました。発電量や自家消費量、余剰電力量等を、ブロックチェーンにトラッキングすることで、地域で生まれた再生可能エネルギーを最大限活用するシェアリング手法を構築。リアルタイムでの再生可能エネルギー融通量の証明や、購入希望者における利用状況の可視化など、再生可能エネルギーを余すことなく有効活用するためのさまざまな施策への発展が期待されています。

「社会を変える」という熱量が
エナリスの強さ

私たちが熱望するのは、「再生可能エネルギーを主力電源とする社会の実現」です。この大きな目標を実現は、エナリス一企業、あるいは電力業界だけがどれほど頑張っても到底成し遂げられるものではありません。だからこそ私たちは、長年かけて開発したシステムやノウハウを抱え込んで一人勝ちを狙うのではなく、オープンにして小売電気事業の立ち上げをサポートしたり、さまざまな企業と協力したりしながら実証などを行ってきました。当研究所の名称が「エナリスみらい研究所」から「みらい研究所」となったのも、エナリス一社で取り組むのではなく、社会全体で共にエネルギー問題に取り組もうとする意志の表れです。

そんな当社には「エネルギーの“当たり前”を本気で変えたい」あるいは「変えてみせる」という情熱と使命感を持った人材が揃っています。ミーティングで活発な意見が交わされたり、若手が嬉々としてアイデアを出す姿を見るたび、「社会を変えることができる会社だ」と再認識し、この会社の一員であることを誇らしく思います。
もちろん、企業である以上は利益を追求する必要があります。しかし、既出の仕組みやアイデアを共有しても、リーディングカンパニーとして長年積み重ねてきた重みはそう簡単に覆せるものではありません。KDDI、電源開発(J-POWER)とタッグを組んだことで経営基盤が盤石となったこともあり、常に新たなものを生み出し続け、一歩先を行くルールメーカーとして、より一層エナリスの存在感は増してくるはずだと確信しています。

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